災害時の通電火災って何?

通電火災

通電火災とは、大地震が起きて停電になった後で、再び電気が通電される時に発生する火災の事です。阪神淡路大震災や東日本大震災の際には、電気製品が原因で多数の通電火災が発生しました。阪神淡路大震災の約60%の火災が通電火災によるものだと言われています。

通電火災の流れ

1:地震の前
電気ストーブなどの電気製品が作動しています。

2:地震が発生
電気ストーブや電気スタンドが倒れます。
他にも衣類や紙類などの燃えやすいものが、停電した電気製品の上に落下します。

3:停電になる
地震が発生して電柱や電線が破損すると停電がおきます。

4:電気が復旧
通電が再開されて電気ストーブや破損した電気コードなどに、電気が流れます。

5:火災が発生
倒れた電気ストーブが畳や絨毯などに着火します。
また電気製品に覆いかぶさった紙類や衣類にも着火します。

6:火災が拡大
通電が再開した際に、誰も火災にも気が付かないと建物全体に燃え広がります。
阪神淡路大震災では原因が特定できた火災の約60%が通電火災によるものだと言われています。

通電火災を防ぐには・・・?

巨大地震はいつ発生するか分かりません。
また自宅から通電火災が起きた場合には、御近所の方々にも多大な迷惑や損害を与えてしまう事になります。
そのような惨事を招かない為にも、通電火災に対する事前の準備や対策が必要です。
巨大地震が発生した場合に通電火災を防ぐには、下記のような対策が有効です。

家電品の電源を切る
大きな地震が発生した場合は、電子レンジや電気ストーブや電気スタンドの電源を切ってから自宅を離れるようにする。

ブレーカーを下げる
大きな地震が発生したら自宅から避難する前に、分電盤のブレーカーを『切る』にしてから避難所や安全な場所に移動する。

感震ブレーカーを設置する
巨大地震が発生した場合には家電品の電源を切ったり分電盤のブレーカーを下げたりしている余裕がないことも多いので、予め感震ブレーカーを設置しておくと安心です。

感震ブレーカーの種類

感震ブレーカーは、一定の揺れ(一般には震度5強以上)を感知すると電気を遮断する為の、通電火災を防止する地震対策の装置です。
感震ブレーカーには用途や条件に応じて複数のタイプが存在します。
御家庭の事情に合わせて最適のタイプを選んで下さい。

簡易タイプ(約2,000~3,000円)
ブレーカーの先にボールが繋がっているタイプで、震度5強の揺れでボールが外れるとその反動でブレーカーのスイッチが下りる仕組みです。

コンセント内蔵タイプ(約5,000~20,000円)
コンセントに感震ブレーカーが内蔵されているタイプです。現在のコンセントと入れ替えるので、設置には電気工事が必要になります。
震度5強以上の地震が発生すると、強制的に接続されている回路のみの電気を遮断します。
特定の回路のみを遮断できるので、使い分けが出来て便利です。
感震ブレーカーのコンセント内蔵タイプには、電気工事が不要な『電源タップ型の感震ブレーカー』もあります。

分電盤内蔵タイプ(約40,000~100,000円)
分電盤と一体型になっているタイプの感震ブレーカーです。既存の分電盤と交換するので電気工事が必要になります。感震ブレーカーの機能性が最も高いので信頼性も高いですが設置費用も高額になります。
雷用の避雷器などの機能も付いた多機能タイプも販売されています。

分電盤外付けタイプ(約10,000~15,000円)
分電盤に外付けするタイプの感震ブレーカーです。既存のブレーカーに取り付けるタイプの感震ブレーカーなので、電気工事士の資格が無くても取付可能なタイプもあります。感震ブレーカーとしての性能も高いので安心して使えます。

感震ブレーカーの補助金

感震ブレーカーを導入すると自治体によっては補助金が貰える地域もあります。
現在、多くの行政が感震ブレーカーの助成金支援を行っています。
是非、御活用して下さい。

神奈川県
住宅1戸につき感震ブレーカーの導入費用の1/2を補助してくれる。(上限3万円)
静岡県
市町村が補助した金額の1/3を補助してくれる。(上限1万円)
滋賀県
市町村が補助した金額の1/3を補助してくれる。(上限1万円)
大阪府
指定された地域の住宅に上限2,000円を補助してくれる。
和歌山県
市町村が補助した市町村負担額の1/2を補助してくれる。(上限なし)
鳥取県
感震ブレーカーの事業費の1/2を支援してくれる。
徳島県
木造住宅の耐震基準が低い住宅が耐震補強工事の実施と同時に、分電盤タイプの感震ブレーカーを設置する場合に、5万円/戸を補助してくれる。

他の都道府県でも支援が開始されている可能性もありますし、上記の内容が変更になっている可能性もありますので、最新の支援制度は自分が住んでいる各都道府県に問い合わせてみて下さい。

また都道府県以外に、各市町村でも感震ブレーカー導入の支援制度(補助金など)が実施されています。詳しい最新情報は、御住いの市町村役場にお問い合わせして下さい。

通電火災のまとめ

通電火災は御自宅への被害だけではなく、御近所にも甚大な損害や影響を及ぼしてしまう可能性があります。
感震ブレーカーは簡易タイプなら2,000~3,000円程度と比較的安価に設置する事が可能です。また高額な分電盤内蔵タイプの感震ブレーカーを導入する費用についても、行政によっては補助金などの支援をおこなっていますので、御負担額を軽減できます。
是非、通電火災への対策として感震ブレーカーの導入を御検討下さい。

長文、御拝読頂き有り難う御座いました。